人間はだれしも「安心したい」という欲求を生まれながらに持っています。安心できる人間関係を求めることは、私たちが人と関わるときに「組み込まれている」本能的な欲求です。子どもに必要なのは、完全な子育てではなく、「ほどよい」子育てです。世界中で注目されている「安心感の輪」子育てプログラムは、ケント・ホフマン、グレン・クーパー、バート・パウエルら心理学の専門家たちが50年にわたる研究成果をもとに開発した、健全な関係を育むための子育てプログラムです。このプログラムを学ぶことにより、保護者の皆さまが、無理なく自然に楽しみながら子どもの安心感を育む子育てを行なうことを目指しています。
50年にわたる実証研究で明らかになってきたアタッチメント(愛着)が安定した子どもの特徴は、以下の通りです
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■養育者と幸せな感情を味わえます
■養育者に怒りを示すことが少ないです
■困ったときに、養育者に助けを求められます
■自分自身で問題を解決できます
■友だちと仲良くできます
■友だち関係が長続きします
■友だちと協力して問題を解決します
■きょうだいが仲がよいです
■自尊感情が高いです
■ほとんどの問題には対処できると思っています
■愛する人たちを信頼します
■周りの人に優しくできます
<愛着とは> attachment
多くの赤ん坊は生後6,
7カ月になると、ほかの人が部屋を出て行っても平気なのに母親が部屋を出て行くと泣き叫んだり、泣いている時にほかの人がいくらあやしても泣きやまないのに母親が受け取るとぴたりと泣きやむ、というような行動を示すようになる。これは赤ん坊が母親という特定の対象に対して特別の感情を抱くようになったからにほかならず、このような特定の対象に対する特別の情緒的結びつきをボウルビィ(Bowlby,
J.1969)はアタッチメントと名づけた。
日本語訳としては「愛着」という用語が定着してきている。ボウルビィによれば、母親への愛着は、(1)人に関心を示すが,人を区別した行動はみられない段階、(2)母親に対する分化した反応がみられるが母親の不在に対して泣くというような行動はまだみられない段階、(3)明らかに愛着が形成され愛着行動がきわめて活発な段階、(4)愛着対象との身体的接近を必ずしも必要としなくなる段階、の4段階を経て発達し、その間に他の対象へも愛着の輪を広げていくという。
また、乳幼児期に形成された愛着はしだいに内化されて内的ワーキング・モデルとして存在し続けるという観点から、青年や成人の愛着の質を問題にする愛着研究も活発になってきている。
[株式会社有斐閣 心理学辞典より]